シュタイナーの言葉

シュタイナーの言葉

シュタイナーは、シュタイナー学校と寄附金(お金)の話を残しています。

こんな話です。

 みなさんは、わたしがヴァルドルフ学校連盟※1の会合において最近お話しましたことを、よく考えてくださればよろしいのです。これはできうるならば広く言いふらしていただきたいものです。といいますのは、このことは最近アントロポゾーフたちによって言いふらされているいかなることよりも、人々に知られる必要のあることだからです。私は、次のように言ったのです。ドイツには非常に少なく見積もっても一万人のアントロポゾーフが存在します。もし毎週各地で募金が行われ、一人ひとりが毎週わずか50ペニヒ※2を出せば、1万人のアントロポゾーフから、毎週5000マルク※3が集まるわけです。そしてこれは実行しさえすれば、たやすく実現できることなのです。そこで私はこう言ったのです。人智学協会においては、私たちの施設が非常に弱体な基礎しかもっていないので、喜んでお金を寄付しようと思っている人びとーこれは経験によって確かなことですーが、どのような方法でお金を出したらよいのかわからないことが多いのです。ところで、ヴァルドルフ学校の状況が非常に困難なものであることは事実です。そして私はこの機会に申し上げて良いと思うのですが、最近スイスの友人の方がたの寄付によって、この少なからざる、むしろ膨大な額とも言うべき学校維持費が、その直接の援助によって部分的に埋められたのでした。ただこれは子どもたちの親がわりを引き受けるという形でなされたのでありまして、これは具体的にいいますと、ヴァルドルフ学校の一人の子どもに対して、その親がわりの人が月額25ないし28マルク※4を支払うことによって行われているのです。しかし、ヴァルドルフ学校におけるこのような状況は非常に暗いものであり、将来の見通しはたいへん悲観的なものであることに変わりありません。

 もし250ないし300人の親がわりが見つかれば、そして会費がもっとよく払い込まれ、募金が行われれば、状況はそれほど困難ではないはずなのです。ただ、ドイツにおいては現在、非常な金融恐慌が支配していることももちろん指摘されなければなりません。通貨価値が皆無であるというのではありませんが、しかしながらたしかにそのような経済逼迫が存在し、本当の意味での経済循環が全く不可能になっています。すなわち経済生活は中部ヨーロッパにおいて、すでにおそろしく険悪な状態にあるのです。

 これがみなさんにご報告しようと思っていたことです。これらすべてのことが示しておりますのは、人智学運動によって人智学の畑の上に生み出されているすべてのことが、現在、たいへん力強いものであることを証明しているということです。ヴァルドルフ学校がとっている形態のいっさいは、人智学に内在する非常に強い力を示しています。これはまた、その他の部門においても同様に現れています。

『農業講座』(p.24-25)1924年6月20日 ルドルフ・シュタイナー

※1 ヴァルドルフ学校とは、シュタイナー学校のこと

※2 50ペニヒとは、1ペニヒ0.5円位なので、25円くらい。

※3 5000マルクとは、120万円弱位(2020年10月のレート)。1マルクが100ペニヒ。マルクはユーロ導入前のドイツ通貨。1マルクは、1.95ユーロ。

※4 25ないし28マルクとは、6000円〜7000円弱(2020年10月のレート:1ユーロ=123円)

シュタイナー学校

その他に、このような言葉も残しています。

私が全体への奉仕のために労働し、私が必要とするものを全体がわたしに与えるときにのみ社会は進歩できる、というのが本当です。自分の労働を自分のために用いないことによって、社会は進歩するのです。
 自分の仕事の収益を個人の報酬という形で得ようとしないことによって、社会の進歩が可能になります。「自分の労働からは自分のために何も得ようとするべきではない。自分は社会共同体に対して労働する責務がある」ということを知っている人は、事業をまったく異なった目的に導きます。自分のために何も要求せず、社会共同体から自分に贈られるものによってのみ生計を立てるのです。

『あたまを育てる からだを育てる』(p.158)1908年3月 GA54 ルドルフ・シュタイナー