代表理事よりご挨拶

一般財団法人ルドルフ・シュタイナー・ファンド・ジャパンの代表理事よりご挨拶

我が家は、子どもたち2人を、シュタイナー学校に行かせています。子どもたちは、素晴らしい学びと体験をさせていただいており、このまま良く育つ未来が見えますが、ここに至るには色々なことがあり、平坦とは言えませんでした。

わたしは、千葉、イギリス、北海道のシュタイナー学校を経験していますが、どのシュタイナー学校も、ひとりひとりが全然違う人たちの集まりです。お互いの違いを認め合いながら、一緒にやってゆこう!という勇気あるチャレンジをしてゆくのが、シュタイナー学校です。

『学校の子どもたちは、みんな家族だと思ってくださいね』

末っ子の入学前の面談で、担任の先生から言っていただいた、すてきな言葉です。

わたしは、出来るだけ、その言葉のように生きたいと思いました。

自分の子どもだけではなくて、学校の子どもたちの成長を見守り、出来ることはお手伝いしてきました。

年々、大きくなってゆく子どもたち、笑顔でお友達と語りながら学校から下校して行く子どもたち、プロジェクトを達成してゆく子どもたち…!

理想に近い教育がなされてゆく一方で、様々な理由で、シュタイナー教育に行きたくてもいけない方、シュタイナー学校を続けられない方にも出会って来ました。

特に、現代日本社会は急激に変貌を遂げています。失われた30年、30年近く前は日本の一人あたりのGDPは世界2位でした。ところが、今は世界で26位です。今の日本は、何もしなければ沈む船に乗っているのと同じだ、という言葉を発する方さえ居ます。現代日本の子どもの、7人に1人は貧困だというのをご存知ですか?20代の6割の方が、貯金が殆どない、という現実をご存知でしょうか?実質、私立の学校や、NPO法人での経営が主である日本のシュタイナー教育という状況では、たとえ、子どもたちや親が望んだとしても、シュタイナー学校に入る手段は断たれてしまうかもしれないのです。

望むのにシュタイナー学校に行けない、という方に出会うたびに、わたしは苦しく感じて来ました。我が家の子どもたちは、幸運にもシュタイナー学校に通わせられている、でも、我が家だけが幸運なら良いとは思えない。シュタイナー教育を求める子どもやご家族すべてに、シュタイナー教育を提供してあげられたらいいのに、と。

そして、海外のシュタイナー学校には、各学校に様々な奨学金制度や奨学金団体があるのも知っていました。

なぜ、日本にはその制度がないのだろう?日本にもあれば、助かる方は多いだろうに…と思って来ました。奨学金制度が必要だ、という話し合いにも何回も参加しました。そのたびに、誰もが願う通りには行きませんでした。

色々なトライをする中で、最終的に、「わたしが始めればいいんだ」という答えが降りて来たのです。必要だと思うなら、その人が始めればいいのだと。それが、この財団を始めた、そもそものスタートです。

社会問題は多数あります。それを目の前にして、落ち込むのも一つの選択ですが、わたしは落ち込まないことに決めました。落ち込むくらいの時間があるなら、出来ることをしよう!沈んでいく社会を見て、わたしが悲観的に落ち込むだけなら、状況が悪くなっていくことは確実です。逆に、自分が行動することで、良い方に変えていくことができる!!ということを実感しました。とにかく動こう!と自分に声をかけてスタートしました。幸いなことに、財団の趣旨に賛同してくださる、個としてのしあわせだけを追求することから脱出している理事、評議員、監事の方々にも恵まれました。当財団の何よりの資本は、人財=この巡り会いがたき貴重な方々だと思っております。

シュタイナー学校に子どもを行かせ続けるのに、様々なチャレンジはありますが、せめて、資金的なチャレンジだけでも、軽くするお手伝いが出来たら、と思っております。ただ、お金の支援だけではなく、人と人が協働するときに忘れられがちなことを思い出すための、活動をしてゆきたいと考えております。

わたしは、シュタイナー教育は、未来の世界へつなげていくべき無形(有形)財産だと思っています。現在は、オルタナティブ教育、サスティナブルな教育、といわれ、多種多様な教育方法が研究実践されています。それらすべてに良いところがありますが、わたしは、シュタイナー教育にご縁があるからこそ、シュタイナー教育の魅力を伝えつつ、シュタイナー教育の発展に協力したいと考えております。シュタイナー教育は、国連のSDGs , Sustainable Development Goals 持続可能な開発のための目標にも当てはまっていると言われています。SDGsに合っているといわれているのに、シュタイナー教育はまだ認知度が低いのです。人間が成長していく教育には、どんな内容が必要なのか?人間とは何か?それについての答えがシュタイナー教育にはあると思っております。

そして、子どもだけではなく、シュタイナー教育にまつわる成人教育や、芸術家の育成、農業などの支援にも、日本には支援団体が少なすぎる現状があります。これも、シュタイナー教育への奨学金団体と同じ構造で、海外にはサポート団体は幾つもあるのに、日本にはその団体が少なすぎるのです。人間はいつでも学ぶ必要があります。シュタイナー教育は自己教育とも言われます。成人の方たちも真剣に、思い切り学ぶ必要がある!大人が輝くから、子どもたちも未来に夢を抱けるのです。人間は何歳でも学び、変わっていける存在、無から有を生み出せるかけがえのない存在です。だからこそ、その一助になりたいと、こちらの財団を作りました。

人が成長することを意識的に支援しあうのは、激動の21世紀、22世紀に必要なことだと思っております。

『良き夢は実現する!そして、人の夢を応援し、励ますのが当たり前の社会にする!』

社会はもっとよくなる!もっとよくする!という決意のもと、財団を通して多くの方の支え合いの架け橋になれますように、大いなる豊かさへ向けて、活動してゆく所存です。

代表理事 西片 彩子

一般財団法人ルドルフ・シュタイナー・ファンド・ジャパンの代表理事よりご挨拶